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クリスマスの食卓に、泡のワインを1本。グラスに注いだときに立ちのぼる細かな泡は、それだけで特別な夜の合図になります。
ところが売り場や通販をのぞくと、シャンパーニュ、カヴァ、プロセッコ……と名前がずらりと並びます。値段も1,000円台から1万円以上まで幅があり、「結局どれを選べばいいのか」と迷いやすいのが泡のワインです。
この記事では、種類と造り方の違いと、ラベルにある甘辛表示の読み方を整理したうえで、予算別に選んだ5本を紹介します。冷やし方や安全な開け方もまとめたので、12月の家飲みやホームパーティーの準備に役立ててください。
泡のワインは「造り方」で味が変わる
スパークリングワインの泡は、ワインの中で再び発酵を起こし、そのとき生まれる炭酸ガスを閉じ込めて作られます。2回目の発酵をどこで行うかで、味の方向性が大きく分かれます。
瓶内二次発酵|きめ細かい泡と香ばしさ
いったん完成したワインを瓶に詰め、糖分と酵母を加えて、瓶の中で2回目の発酵をさせる造り方です。発酵のあとも酵母の澱(おり)と一緒に瓶の中で寝かせるため、パンやブリオッシュを思わせる香ばしさが加わるとされます。泡はきめ細かく、長く続くのが特徴です。
瓶にたまった澱を1本ずつ取り除くなど、手間と時間がかかるぶん価格は高めになりがちです。シャンパーニュ、クレマン、カヴァはこの造り方で造られます。
タンク内二次発酵|ぶどうの香りがいきいき
大きな密閉タンクの中で2回目の発酵をさせる造り方です。「シャルマ方式」、イタリアでは「マルティノッティ方式」とも呼ばれます。瓶詰めまでワインが空気に触れにくいため、ぶどうそのものの香りが生きたフレッシュな味わいになるとされます。
1回でまとまった量を造れるので、手間とコストを抑えやすいのも特徴です。プロセッコはこの造り方が中心です。このほか、ワインに炭酸ガスを吹き込む造り方もあり、手頃に造れる反面、泡が大きめで抜けやすいことがあると言われます。
代表的な5つの種類と、それぞれの持ち味
泡のワインは、国や産地によって呼び名が変わります。クリスマスの売り場でよく目にする5つを押さえておけば、ラベルを見たときに中身の見当がつくようになります。
シャンパーニュ(フランス)
フランスのシャンパーニュ地方で、決められたルールに沿って造られた泡だけが名乗れる名前です。瓶内二次発酵で造られ、発泡が始まってから最低15か月は瓶の中で澱とともに熟成させることが決められています。主なぶどうはシャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエの3種類です。
クレマン(フランス)
シャンパーニュ以外のフランスの産地で、同じ瓶内二次発酵によって造られる泡です。アルザス、ブルゴーニュ、ロワールなど8つの産地があり、地域ごとに使うぶどうも個性もさまざまです。シャンパーニュと同じ造り方の泡を、比較的手頃な価格で楽しめるのが魅力です。
カヴァ(スペイン)
スペインの瓶内二次発酵の泡です。生産の多くは、カタルーニャ州バルセロナ県のペネデス地域に集まっています。瓶の中で最低9か月熟成させる決まりがあり、白はマカベオ、チャレッロ、パレリャーダといったスペインのぶどうが代表的です。若いものは、柑橘や青りんごを思わせる軽やかな味わいとされます。
プロセッコ(イタリアのスプマンテ)
イタリアでは、泡のワインを広く「スプマンテ」と呼びます。その代表格がプロセッコです。イタリア北東部のヴェネト州とフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州にまたがる地域で、グレーラというぶどうを主体に造られます。
タンク内二次発酵による花や果物のような香りが持ち味で、若いうちに楽しむのがよいとされています。ヴェネト州のコネリアーノやヴァルドッビアーデネの丘では、より厳しい基準の上位格付け「プロセッコ・スペリオーレ」も造られています。
日本のスパークリング
日本でも、甲州など日本で育ったぶどうを使った泡が造られています。造り方は造り手によってさまざまで、瓶内二次発酵で丁寧に仕上げたものもあります。
国産のぶどうだけを使って国内で造られたワインは、ラベルに「日本ワイン」と表示できるルールが2018年から適用されています。日本のぶどうで造られた泡を選びたいときの目印になります。

ラベルの「ブリュット」とは?甘辛表示の読み方
泡のワインのラベルには、甘さの度合いを示す言葉が書かれています。基準になるのは、1リットルあたりに含まれる糖分の量です。シャンパーニュの基準は次のとおりです。カヴァでも、ブリュットやエクストラ・ブリュットなど同じ考え方の表示が使われています。
| 表示 | 1リットルあたりの糖分 | 味の目安 |
|---|---|---|
| ブリュット・ナチュール | 3g未満(糖分の添加なし) | もっとも辛口 |
| エクストラ・ブリュット | 0〜6g | とても辛口 |
| ブリュット | 12g未満 | 辛口 |
| エクストラ・ドライ | 12〜17g | ほんのり甘さのある辛口 |
| セック | 17〜32g | やや甘口 |
| ドゥミ・セック | 32〜50g | 甘口 |
| ドゥー | 50g以上 | しっかり甘口 |
気をつけたいのは「エクストラ・ドライ」です。名前からはとても辛そうに見えますが、実際はブリュットより糖分が多い区分です。すっきりした辛口が好みなら、まずは「ブリュット」と書かれたものを選ぶと好みから外れにくくなります。
予算別|クリスマスにおすすめの泡5本
種類と価格帯が重ならないように、楽天で手に入る5本を選びました。どれも750mlの単品です(価格は執筆時点の目安で、ショップや時期によって変わります)。
| 銘柄 | 種類 | 味の傾向 | 目安価格 | 合わせたい料理 | こんな人に向いている |
|---|---|---|---|---|---|
| ① ロジャーグラート カヴァ ロゼ ブリュット | カヴァ(ロゼ) | 赤い果実の香りと、いきいきとした酸味 | 約1,600円 | ローストチキン、生ハム | 予算を抑えて食卓を華やかにしたい人 |
| ② シモネ・フェブル クレマン・ド・ブルゴーニュ ブリュット | クレマン | きめ細かい泡と柑橘の香り | 約2,700円 | 前菜、魚介のマリネ | 瓶内二次発酵の泡を手頃に試したい人 |
| ③ ニーノ・フランコ ルスティコ | プロセッコ・スペリオーレ | 花や果物のような、フレッシュな香り | 約3,100円 | 乾杯の1杯、軽いおつまみ | 軽やかで飲みやすい泡が好きな人 |
| ④ ルミエール スパークリング甲州 2023 | 日本のスパークリング | 和柑橘のような清々しい香り、辛口 | 約3,700円 | ちらし寿司、手巻き寿司 | 和の料理と合わせたい人 |
| ⑤ ヴーヴ・クリコ イエローラベル ブリュット(箱付) | シャンパーニュ | 果実と焼き菓子のような豊かな香り | 約7,300円 | カルパッチョ、巻き寿司 | 特別な夜や手土産にしたい人 |
① ロジャーグラート カヴァ ロゼ ブリュット|2,000円以内で華やかなロゼを
1882年創業、バルセロナ県のサン・エステベ・セスロビレスに蔵を構えるカヴァの造り手です。スペインでいち早く瓶内二次発酵の泡造りに取り組んだ造り手とされ、2回目の発酵と熟成は、地下30mにある1年中14℃のセラーで行われます。
ガルナッチャを中心に、モナストレル、ピノ・ノワールの黒ぶどうから造るロゼです。造り手は、イチゴやサクランボを思わせる赤い果実の香りと、いきいきとした酸味を特徴に挙げています。すすめる温度は6〜8℃。2,000円以内でクリスマスらしい色合いを添えられるのが魅力で、ローストチキンや生ハムと合わせる楽しみ方もあります。

② シモネ・フェブル クレマン・ド・ブルゴーニュ ブリュット|シャンパーニュと同じ造り方を手頃に
ブルゴーニュ地方のシャブリにある造り手で、1840年から瓶内二次発酵の泡を手がけてきました。現在はシャブリで唯一、クレマン・ド・ブルゴーニュを造るメゾンだとしています。
シャルドネ60%、ピノ・ノワール40%で造られ、瓶を寝かせた状態で2〜3年熟成させています。糖分は1リットルあたり7gのブリュットです。造り手は、きめ細かく持続する泡と柑橘の香りを特徴に挙げ、食前酒としても、食事を通しても楽しめるとしています。瓶内二次発酵の泡がどんなものか、3,000円以内で確かめたい人に向く1本です。

③ ニーノ・フランコ ルスティコ|軽やかなプロセッコの上位格付け
ヴェネト州のヴァルドッビアーデネで、1919年に始まった造り手です。「ルスティコ」は、1979年にタンク内二次発酵の泡へと造りを切り替えた歴史を持つ銘柄で、ラベルには上位格付けの「プロセッコ・スペリオーレ」の名が入ります。
グレーラ主体のプロセッコらしく、花や果物を思わせるフレッシュな香りが楽しめるとされます。アルコール度数は11%と軽めです。重たい泡が苦手な人や、乾杯の1杯目にちょうどよく、クラッカーやチーズなど軽いおつまみと合わせる楽しみ方もあります。

④ ルミエール スパークリング甲州 2023|和の料理にも合わせたい日本の泡
山梨県笛吹市にある明治創業のワイナリーで、2007年から山梨のぶどうを使った瓶内二次発酵の泡を造っています。澱を取り除いて減った分を補うとき、甘みを加えたワインではなく同じワインを補充するのがこの蔵のやり方で、ドライですっきりした味わいに仕上がるとしています。
この1本は、ワイナリーのある南野呂地区の甲州を使い、瓶内二次発酵のあと20か月熟成させたものです。きめ細かい泡と、和柑橘のような清々しい香りが特徴とされています。蔵がすすめる料理は、ちらし寿司やタコとアボカドのマリネ。手巻き寿司や和の前菜が並ぶクリスマスに合わせる楽しみ方もあります。

⑤ ヴーヴ・クリコ イエローラベル ブリュット|特別な夜と手土産に
黄色いラベルで知られるシャンパーニュです。ピノ・ノワールを主体にシャルドネとムニエを合わせ、安定した品質を保つために最大45%のリザーヴワイン(過去の年に造って蓄えておいたワイン)をブレンドしています。
造り手は、白や黄色の果実、柑橘、焼き菓子を思わせる香りを特徴に挙げています。糖分は1リットルあたり9gの辛口で、すすめる温度は8〜10℃。カルパッチョや巻き寿司、ハンバーガーとの相性も紹介されています。箱付きなので、クリスマスの手土産にも使いやすい1本です。
贈り物としてワインを選ぶときの考え方は、贈り物に喜ばれるワイン5選にまとめています。

おいしく飲むための準備|冷やし方・開け方・グラス
冷やし方の目安
泡のワインは、しっかり冷やしてから開けるのが基本です。飲み頃の目安は、カヴァやプロセッコなら6〜8℃、シャンパーニュは8〜10℃とされています。冷やしすぎもよくないとされるので、出しっぱなしの時間にも気を配ります。
- 冷蔵庫なら:数時間前から入れておきます。冷蔵庫で4〜5℃まで冷やすと、グラスに注いだときに6〜8℃ほどになるとされています
- 急ぐなら:水と氷を半分ずつ入れたワインクーラーやバケツに、20〜30分ほど浸けます
- 冷凍庫は使わない:凍ると瓶が破損するおそれがあります
冷え方が足りないと、開けたときに中身が吹き出しやすくなります。開ける直前まで、しっかり冷やしておきましょう。
安全な開け方
瓶の中には、車のタイヤのおよそ3倍にあたる圧力がかかっているとされます。栓が勢いよく飛ぶと危ないので、次の手順でゆっくり開けます。
- 開ける前にボトルを振らない。揺らしてしまったときは、しばらく静かに置いておく
- ボトルが濡れていたら布で拭き、栓を覆うキャップシールをはがす
- 親指で栓の上を押さえたまま、針金の留め金をゆるめる(針金は外さず、ゆるめるだけにしておくと安心です)
- ボトルを45度ほど傾け、口を自分や周りの人、割れ物に向けない
- 栓に布巾をかぶせ、栓を押さえたまま、もう片方の手でボトルの底のほうをゆっくり回す
- 栓が浮いてきたら押さえたまま、隙間からガスを少しずつ逃がして静かに抜く
目指すのは、ポンという大きな音ではなく「シュッ」という静かな音です。ワインオープナーなどの器具や刃物を使うと瓶を傷めるおそれがあるので、手で開けてください。
グラスの選び方
泡のワインの定番は、細長いフルート型のグラスです。立ちのぼる泡がきれいに見えるのが魅力です。シャンパーニュの生産者団体は、香りと細かな泡をしっかり楽しむなら、高さとふくらみがあって口のすぼまったチューリップ型をすすめています。専用のグラスがなければ、白ワイン用のグラスでもじゅうぶん楽しめます。
グラスの形で香りや口当たりが変わる理由は、ワイングラスの選び方入門でくわしく紹介しています。飲み切れなかった泡の保存は、開けたワインはいつまで飲める?を参考にしてください。
よくある質問
Q1. 辛口が苦手です。甘めの泡を選ぶには、どこを見ればいいですか?
ラベルの甘辛表示を確認してください。「ドゥミ・セック」や「ドゥー」と書かれたものは甘口です。「エクストラ・ドライ」もブリュットより糖分が多い区分なので、ほんのり甘さがほしい人の候補になります。
Q2. 冷やし忘れてしまいました。急いで冷やす方法はありますか?
水と氷を半分ずつ入れたバケツや大きめの鍋にボトルを浸けると、20〜30分ほどで飲み頃に近づきます。冷凍庫に入れる方法は、瓶が破損するおそれがあるので避けてください。
Q3. 通販で届いた泡は、すぐに開けても大丈夫ですか?
運ばれてくる間にボトルが揺れているので、届いてすぐ開けるのは避けたほうが安心です。静かに置いて落ち着かせ、しっかり冷やしてから開けてください。開けるまでは、光や振動が少なく、温度変化の少ない涼しい場所に置くのが向いているとされています。なお、お酒は20歳未満の方への販売や提供ができません。
まとめ|まず1本なら、クレマンから
クリスマスの泡選びは、①種類と造り方 ②甘辛表示 ③予算の3つを押さえると迷いにくくなります。香ばしさときめ細かい泡を楽しむなら瓶内二次発酵、軽やかさとフレッシュな香りならタンク内二次発酵。すっきりした辛口が好みなら「ブリュット」を目印にしてください。
まず1本試すなら、②シモネ・フェブル クレマン・ド・ブルゴーニュ ブリュットがおすすめです。シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵の泡を、3,000円以内で楽しめます。特別な夜にもう1本加えるなら、⑤ヴーヴ・クリコ イエローラベルを候補にしてください。
クリスマス直前に慌てないよう、11月のうちに用意しておくと安心です。当日は冷やす時間も逆算して、ゆっくり乾杯を楽しんでください。
グラスの中で静かに続く泡を眺めながら、1年をねぎらう時間を。お酒は適量で。今年のクリスマスが、いまよりちょっと豊かな時間になりますように。

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