余市のワインが今すごい|世界が注目する北海道の産地と最初の1本

お酒

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余市と聞いて、まずウイスキーを思い浮かべた方。実はいま、同じ町がもうひとつの理由で世界から注目されています。日本ワインです。

北海道余市町には、ぶどう農家が50軒以上、ワイナリーが11軒。なかには、デンマークの世界的レストラン「noma」のワインリストに載ったことで一躍脚光を浴びた造り手もいます。しかもそのワインは、フランスの銘醸地を真似たものではなく、「出汁のような旨味」と評される、日本ならではの味わいです。

この記事では、なぜ余市が日本有数のワイン産地になったのか、どんな味なのか、そして2,000円台から試せる最初の1本までをご紹介します。読み終える頃には、今夜のグラスが決まっているはずです。

なぜ余市なのか|ぶどうが喜ぶ、めずらしい土地

北海道と聞くと「寒すぎてぶどうは無理では」と思われがちですが、余市は事情が違います。暖かい海流の影響を受けて道内では比較的温暖で、しかも雨が少ない。さらに岬と山に囲まれた独特の地形が、ぶどう栽培にとても恵まれた環境を作っていると言われています。

面白いのは、この条件がウイスキーの余市蒸溜所が選ばれた理由と重なる部分がある、ということです。竹鶴政孝が1934年に「冷涼で湿潤な気候」を求めてこの町を選び、その数十年後、同じ土地の個性がぶどう畑を育てた。ひとつの町が、まったく違う2つのお酒で日本を代表しているのは、なかなかない話です。

もともと余市は果樹栽培の歴史が長い町で、りんごやさくらんぼの産地として知られてきました。その土壌と農家の技術が、そのままワイン用ぶどうへと受け継がれています。

余市の風土がウイスキーとワインの2つの産地を生んだことを示す図
同じ風土が、ウイスキーとワインという2つの産地を育てた

余市を代表する2つの品種

ケルナー|青りんごのような、余市の白

白ワイン用の主役がケルナー。ドイツ生まれの品種で、冷涼な気候に強いことから北海道で広く育てられています。余市産のケルナーは、青りんごや洋なしを思わせる華やかな香りが特徴とされ、樹齢25〜35年という古い樹から穫れるぶどうも使われています。

きりっとした酸と果実の甘やかな香りのバランスがよく、和食との相性がとても良い白です。刺身や焼き魚、天ぷらといった食卓に、驚くほど自然に寄り添ってくれます。

ピノ・ノワール|世界が注目する余市の赤

そして余市の名を世界に知らしめたのがピノ・ノワールです。栽培が難しく「気難しい品種」として知られるこのぶどうが、余市の気候と地形にはまりました。チェリーやフランボワーズのような赤い果実の香りに、樽熟成による奥行きが加わります。

ピノ・ノワールの魅力そのものについてはカリフォルニアのカレラの記事でも書きましたが、同じ品種でも土地が変わればまったく違う顔になります。それを確かめられるのが、この品種の面白さです。

「出汁の旨味」と言われるワイン|ドメーヌ・タカヒコ

余市のワインを語るうえで外せないのがドメーヌ・タカヒコです。2010年に曽我貴彦さんが、ピノ・ノワールの有機栽培とワイン造りを始めました。畑の名を冠した「ナナツモリ」は、7品種の果樹が植えられていた果樹園の歴史と、宮沢賢治の童話『七ツ森』にちなんで名づけられたと言われています。

このワインが特別なのは、味わいの語られ方です。野生の赤い果実、きのこ、湿った土——そして「出汁のような旨味」。ボルドーやブルゴーニュの言葉ではなく、日本人の舌にすっと入ってくる表現で語られるワインなのです。

2020年、当時世界一と称されたデンマークのレストラン「noma」のワインリストに載ったことをきっかけに、注目は一気に世界へ広がりました。生産量が限られるため入手はきわめて難しく、「幻のワイン」と呼ばれています。もし出会えたら、それは幸運です。

ただ、余市の魅力はこの1本だけではありません。町には11のワイナリーがあり、それぞれが個性を競っています。まずは手に入りやすい1本から、この産地の空気を味わってみてください。

余市ワインおすすめ7選|予算別ラインナップ

ここからは実際に手に入る余市ワインを、予算別に7本ご紹介します。まずは一覧でご覧ください(価格は執筆時点の目安です)。

銘柄タイプ目安価格ひとこと
グランポレール 余市ケルナー白・辛口約2,200円最初の1本に。青りんごの香り
グランポレール 余市バッカス白・辛口約2,500円マスカットのような華やかさ
余市ワイン ツバイゲルトレーベ赤・中重口約2,800円北海道生まれの赤の定番
オチガビ シャルドネ 白ラベル白・辛口約3,850円余市の名ワイナリーの1本
余市ワイン ピノ・ノワール約4,000円余市の主役品種を手頃に
リタファーム 風のヴィンヤード白・自然派約4,250円野生酵母・無濾過のナチュラル
グランポレール 余市 ピノ・ノワール赤・上級約6,600円特別な日に開けたい1本

① グランポレール 余市ケルナー|まずはこの1本

2,000円台で余市のケルナーを体験できる、入り口として理想的な1本です。青りんごのような香りと、きりっとした辛口。まずはこれで「余市の白ってこういう香りなんだ」を掴んでいただくのがおすすめです。冷やしすぎず、7〜10℃くらいでどうぞ。

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② グランポレール 余市バッカス|華やかな香りの白

バッカスもまた、北海道で広く育てられている白ぶどうです。マスカットや白い花を思わせる華やかな香りが持ち味で、ケルナーより香りの主張がはっきりしています。「白ワインは香りで選びたい」という方はこちらから試すのも良い選択です。

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③ 余市ワイン ツバイゲルトレーベ|北海道生まれの赤

ツバイゲルトレーベ(ツヴァイゲルト)は、寒冷地に強くしっかりした果実味を持つ黒ぶどうで、北海道の赤ワインを代表する品種です。中重口で飲みごたえがあり、ジンギスカンや煮込みなど、味の濃い料理にも負けません。3,000円以下で赤を試すならこの1本です。

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④ オチガビ シャルドネ 白ラベル|ワイナリーで選ぶ

余市の名を知られたワイナリーのひとつ、オチガビワイナリーのシャルドネ。庭園のように美しいワイナリーとしても知られています。「余市の造り手を指名して飲んでみたい」という段階に進んだら、こうした個別ワイナリーの1本が楽しくなってきます。

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⑤ 余市ワイン ピノ・ノワール|主役品種を手頃に

余市のピノ・ノワールを4,000円前後で試せる1本。赤い果実の可憐な香りと、やわらかい口当たりが持ち味です。渋みが穏やかなので、少し冷やして12〜14℃で飲むと夏でも軽やかに楽しめます(温度の考え方は夏のワインの記事にまとめています)。

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⑥ リタファーム 風のヴィンヤード シャルドネ|自然派を味わう

余市の自然派ワインを知りたい方へ。野生酵母で発酵させ、清澄も濾過もせずに瓶詰めされたシャルドネです。造り込まない分、ぶどうと土地の個性がそのまま出るタイプで、ドメーヌ・タカヒコにも通じる余市の自然派の空気を感じられます。要冷蔵での取り扱いが基本です。

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⑦ グランポレール 余市 ピノ・ノワール|特別な日に

同じ余市のピノ・ノワールでも、上級ラインになると凝縮感と余韻が変わります。記念日や、大切な人と過ごす夜に開けたい1本。ブルゴーニュ型のグラスがあれば、香りの広がりをより楽しめます。

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迷ったら、白は①ケルナー、赤は③ツバイゲルトレーベから。どちらも3,000円以下で、余市の空気がしっかり伝わってくる2本です。

合わせたい料理

  • ケルナー(白)×和食──刺身、焼き魚、山菜の天ぷら。柑橘を搾る料理との相性が特に良いです
  • ピノ・ノワール(赤)×きのこ・だし──きのこのソテー、鶏の照り焼き、すき焼き。旨味のある料理と響き合います
  • どちらでも×北海道の食材──ホタテ、じゃがバター、チーズ。同じ土地のもの同士は、やはりよく合います

日本ワインの良さは、日本の食卓にそのまま馴染むことです。かしこまらず、いつもの晩ごはんに合わせてみてください。

よくある質問

Q1. ドメーヌ・タカヒコはどうすれば買えますか?

生産量が限られ、正規の取扱店でも抽選や少数入荷が中心です。通販では高値で出回ることもあるため、まずは取扱店の入荷情報をこまめに見るのが現実的です。飲んでみたいだけなら、扱いのあるレストランやワインバーでグラスを探すほうが早いこともあります。

Q2. 日本ワインと国産ワインは違うのですか?

違います。「日本ワイン」は日本国内で収穫されたぶどうだけで造られたワインを指す表示ルールです。海外から輸入した原料を国内で醸造したものは「国産ワイン」などと区別されます。余市のワインを選ぶときは、ラベルの「日本ワイン」表記を目印にしてください。

Q3. 余市のワイナリーは見学できますか?

見学や試飲を受け付けているワイナリーもありますが、規模の小さい造り手が多く、対応はさまざまです。訪ねる際は必ず事前に各ワイナリーの案内を確認してください。余市駅周辺はウイスキーの蒸溜所とあわせて巡れるので、旅の目的地としても魅力的な町です。

まとめ|ウイスキーの町は、ワインの町でもあった

冷涼で雨が少なく、海と山に抱かれた余市。かつて竹鶴政孝がウイスキーのために選んだその風土が、いま日本ワインの最前線をつくっています。世界の三ツ星が認めた造り手がいる一方で、2,000円台から産地の空気を味わえるのもこの土地の懐の深さです。

ケルナーの青りんごの香りか、ピノ・ノワールの赤い果実か。今夜はどちらから始めましょうか。今日の一杯が、いまよりちょっと豊かになりますように。

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