秋の味覚に合うワインの選び方|きのこ・栗・さんまのペアリング

秋の食卓に並ぶ赤ワインと白ワイン、きのこ、栗、さんま お酒

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きのこ、栗、さんま、かぼちゃ。秋はスーパーの売り場を歩くだけで、旬の食材が次々と目に入る季節です。せっかくなら、いつもの晩ごはんにワインを合わせてみたいと考える方も多いのではないでしょうか。

ただ、「料理に合うワイン」と聞くと、専門的な知識や高価なボトルが必要なように感じてしまいます。実際には、合わせ方の基本となる考え方はそれほど多くありません。理屈を少し知っておくだけで、手頃な価格のワインでも家の食卓の印象が変わると言われています。

この記事では、まず料理とワインの合わせ方の基本となる4つの考え方を整理し、そのあとで秋の食材ごとに、合わせやすいワインのタイプを具体的に紹介します。最後に早見表と、迷ったときに選びやすい万能タイプもまとめました。

なお、ワインと料理の相性には好みの差も大きく、ここで紹介するのは一般的に言われている考え方です。「正解」ではなく、選ぶときの手がかりとして使っていただければと思います。

まず押さえたい、ワインと料理の合わせ方4つの基本

料理とワインのよい組み合わせは「マリアージュ」や「ペアリング」と呼ばれます。考え方はいくつかありますが、家庭で使いやすいのは次の4つです。

考え方内容秋の食卓での例
色を合わせる料理の色とワインの色を近づけるきのこのソテー(茶色)に赤、かぼちゃのグラタン(黄色)に白
重さを合わせるあっさりした料理にはすっきりしたワイン、こってりした料理にはコクのあるワイン塩焼きにはすっきりした白、すき焼きには果実味の濃い赤
香りの共通点で合わせる料理とワインに似た香りがあるものを選ぶきのこの土っぽい香りと熟成したピノ・ノワール、焼き栗の香ばしさと樽熟成のシャルドネ
産地を合わせる同じ土地で親しまれてきた料理とワインを合わせる和食に甲州やマスカット・ベーリーAなど日本のワイン

1つ目は「色を合わせる」考え方です。料理の色とワインの色を近づけるという、もっとも手軽な目安です。茶色や赤みのある料理には赤ワイン、白や黄色っぽい料理には白ワイン、淡いピンク色の食材にはロゼ、というように選びます。見た目で判断できるので、売り場で迷ったときにも使いやすい方法です。

2つ目は「重さを合わせる」考え方です。あっさりした料理にはすっきりしたワイン、こってりした料理にはコクのあるワインを合わせると、どちらかが負けにくいとされています。このとき大切なのは、素材そのものより味付けや調理法を見ることだと言われます。同じ鶏肉でも、塩焼きと照り焼きでは合うワインが変わってきます。

3つ目は「香りの共通点で合わせる」考え方です。料理とワインに似た香りがあると、それが橋渡しになってなじみやすいとされます。たとえば、樽で熟成させたワインの香ばしい香りと、焼いた食材の香ばしさを重ねるといった合わせ方です。

4つ目は「産地を合わせる」考え方です。同じ土地で育った料理とワインは、長い時間をかけて一緒に親しまれてきたため、相性がよいことが多いと言われます。和食であれば、日本のワインを選ぶのがわかりやすい例です。

4つすべてを満たす必要はありません。1つか2つが当てはまれば大きく外れることは少ない、と考えておくと気が楽です。

秋の食材ごとに合うワインのタイプをまとめた早見表
迷ったときは、この表で食材から探してください

秋の食材別|合わせやすいワインのタイプ

ここからは、秋の食卓に並びやすい食材ごとに、合わせやすいワインのタイプを見ていきます。同じ食材でも、味付けによって候補が変わる点にも触れていきます。

きのこ|土っぽい香りのピノ・ノワールなど軽めの赤

きのこはうま味が強く、森の土や落ち葉を思わせる香りを持つ食材です。ここで候補に挙がりやすいのが、ピノ・ノワールという品種の赤ワインです。ピノ・ノワールは熟成が進むと、きのこや湿った土、落ち葉のような香りが出てくると表現されることが多く、「香りの共通点で合わせる」代表的な組み合わせとして紹介されています。

もう1つのポイントは渋みです。きのこの強いうま味は、渋みのしっかりした赤ワインと合わせると、苦みや金属のような味を感じやすくなるとも言われます。ピノ・ノワールのように渋みが穏やかなタイプが選ばれやすいのは、この点も関係していると考えられています。

バター醤油ソテーやきのこの炊き込みご飯なら、軽めの赤が合わせやすいでしょう。ガメイという品種から造られるボジョレーの赤も、渋みが強すぎないため、きのこ料理の候補になります。ボジョレーは新酒のヌーヴォーの印象が強いですが、村の名前がついた上級のワインもあります。詳しくはボジョレーのクリュを紹介した記事にまとめています。

一方、クリーム煮やグラタンのように乳製品を使う場合は、樽熟成のシャルドネなどコクのある白ワインもよく合うとされています。クリームのまろやかさと、ワインのふくよかな口当たりの「重さ」が近いためです。

栗・さつまいも|樽熟成のシャルドネ

栗やさつまいもは、ほくほくとした食感と自然な甘さが魅力です。焼き栗や焼き芋のように火を通すと、香ばしさも加わります。

こうした食材に合わせやすいとされるのが、樽で熟成させたシャルドネです。樽熟成のシャルドネは、バニラやナッツ、トーストのような香りと表現されることが多く、栗やさつまいもを焼いたときの香ばしさと共通点があります。また、口当たりがまろやかなので、ほくほくした食感にも寄り添いやすいと言われます。

栗ご飯、栗と鶏肉の煮込み、さつまいものバター焼きなど、甘みと香ばしさのある料理で試しやすい組み合わせです。シャルドネは日本でも各地で造られており、山形のかみのやまのように国内の産地から選ぶのも楽しみ方の1つです。かみのやまのワインについては山形かみのやまの日本ワインを紹介した記事で取り上げています。

ただし、モンブランやスイートポテトのような甘いお菓子に合わせる場合は話が別です。辛口のワインを甘いものと合わせると、ワインが酸っぱく、苦く感じられやすいと言われます。甘いお菓子には、お菓子と同じくらいか、それ以上に甘い甘口のワインを選ぶのが一般的な考え方です。

さんまの塩焼き|甲州か、渋みの軽い赤

秋の味覚の代表であるさんまの塩焼きは、ワイン選びで意見が分かれやすい料理です。「魚には白ワイン」とよく言われますが、さんまは脂が多く、はらわたのほろ苦さもあるため、すっきりした白ワインだけが正解とは限りません。

魚とワインを合わせたときの生臭さについては、日本のワイン会社の研究チームが2009年に発表した研究がよく知られています。赤ワインと白ワインを合わせて60種類以上を調べたところ、ワインに含まれる鉄分が多いほど、魚介と合わせたときの生臭い後味が強くなる傾向があったと報告されています。つまり、生臭さには赤か白かという色よりも、ワイン中の鉄分の量が関わっていると考えられているのです。

そこで候補になるのが、日本の白ワインの甲州です。甲州は鉄分を含むミネラル分がほかのワインより少ないとされ、魚介や和食に合わせやすいと紹介されることが多い品種です。柑橘を思わせるすがすがしい香りもあり、すだちやかぼすを搾ったさんまとは「香りの共通点」でもつながります。

一方で、脂ののったさんまには赤ワインのほうが合わせやすいと考えるソムリエもいます。赤ワインの渋みが魚の脂と出会うと、なめらかに感じられるというのがその理由とされています。赤を選ぶ場合は、日本の黒ぶどう品種であるマスカット・ベーリーAや、軽めのピノ・ノワールなど、渋みの軽いものから試すとよいでしょう。

甲州と軽めの赤のどちらが好みに合うかは、実際に食べ比べてみるのがいちばんです。大根おろしやすだちを添えるかどうかでも印象が変わるので、家で気軽に試せる組み合わせと言えます。

かぼちゃ|ローストならコクのある白、煮物なら果実味のある赤

かぼちゃは焼いたり煮たりすると甘みが増し、ねっとりとした食感になります。ローストやグラタン、ポタージュのように素材の甘みとコクを生かす料理には、樽熟成のシャルドネや、ヴィオニエのような香りの豊かな白ワインが合うと、海外の料理とワインの専門サイトでも紹介されています。黄色い見た目どうしなので、「色を合わせる」考え方にも当てはまります。

一方、和食の定番であるかぼちゃの煮物は、醤油と砂糖の甘辛い味付けが中心です。基本の考え方で触れた「素材より味付けを見る」を当てはめると、甘辛い味に合わせやすいとされる果実味のある軽めの赤や、ロゼも候補になります。これは考え方を応用した提案なので、好みに合わせて試してみてください。

秋鮭|ロゼやピノ・ノワール、ムニエルならシャルドネ

秋鮭は、秋に産卵のため川へ戻ってくる白鮭のことで、脂が控えめであっさりした味わいと言われます。身の淡いピンク色にあわせてロゼワインを選ぶのは、「色を合わせる」考え方のわかりやすい例です。ロゼは魚にも鶏肉や豚肉にも合わせやすいとされ、和洋どちらの献立にも使いやすいタイプです。

調理法によっても候補は変わります。バターで焼くムニエルならシャルドネなどコクのある白、味噌とバターで焼くちゃんちゃん焼きなら、香ばしさと甘みに合わせて軽めの赤も候補になります。赤を選ぶ場合は、さんまと同じく渋みの軽いものにしておくと合わせやすいでしょう。

秋鮭の産地として知られる北海道では、余市をはじめとしてピノ・ノワールのワイン造りが注目されています。北海道の鮭に北海道のピノ・ノワールを合わせれば、「産地を合わせる」楽しみ方にもなります。北海道・余市のワインを紹介した記事も参考にしてみてください。

すき焼き・肉じゃが|甘辛い味には果実味のある赤

秋から冬にかけて食べたくなるすき焼きや肉じゃがは、砂糖や醤油、みりんを使った甘辛い味付けが特徴です。こうした料理には、果実味が豊かで渋みが穏やかな赤ワインが合わせやすいとされています。

すき焼きのように脂ののった牛肉を甘辛く煮る料理では、果実味が濃く、まろやかな口当たりのジンファンデルなどが候補に挙がります。霜降り肉の甘さを引き立てる組み合わせとして紹介しているワインメーカーもあります。また、溶き卵につけることで味がまろやかになるため、ロゼのスパークリングワインで口の中をさっぱりさせる合わせ方を勧める記事もあります。

肉じゃがは、すき焼きほど濃厚ではありません。肉の軽いコクと甘辛い出汁、ほくほくのじゃがいもには、果実味のある軽めの赤が合うと言われます。マスカット・ベーリーAやガメイなど、親しみやすい赤から試してみると選びやすいでしょう。

「肉料理だから赤ワイン」と決めつけず、味付けの濃さや甘さに合わせて選ぶのが、和食とワインを合わせるときのコツとされています。

早見表|秋の食材と合うワインのタイプ

ここまでの内容を表にまとめました。買い物の前などに見返してみてください。

食材・料理合うワインのタイプ理由
きのこ(ソテー・炊き込みご飯)ピノ・ノワール、ガメイなど渋みの穏やかな赤土っぽい香りが共通し、渋みがうま味とぶつかりにくいとされる
きのこ(クリーム煮・グラタン)樽熟成のシャルドネクリームのまろやかさと重さが近い
栗・さつまいも樽熟成のシャルドネ焼いたときの香ばしさと樽の香りに共通点がある
さんまの塩焼き甲州、マスカット・ベーリーAなど渋みの軽い赤甲州は鉄分が少ないとされる。赤は渋みが脂でなめらかに感じられるとする見方がある
かぼちゃ(ロースト・グラタン)樽熟成のシャルドネ、ヴィオニエ甘みとコクに重さが合い、色も近い
かぼちゃ(煮物)果実味のある軽めの赤、ロゼ素材より甘辛い味付けに合わせる考え方
秋鮭(塩焼き・ちゃんちゃん焼き)ロゼ、軽めのピノ・ノワール身の色が近く、渋みが軽い
秋鮭(ムニエル)シャルドネなどコクのある白バターのコクと重さが合う
すき焼きジンファンデルなど果実味の濃い赤、ロゼのスパークリング甘辛さと脂に果実味が寄り添う。泡で口の中がさっぱりする
肉じゃがマスカット・ベーリーA、ガメイなど果実味のある軽めの赤ほどよいコクと甘辛い出汁に重さが合う

表の組み合わせは、あくまで一般的に言われている目安です。同じ食材でも、塩味なのか甘辛いのか、バターやクリームを使うのかで合うワインは変わります。迷ったときは、素材よりも味付けを基準に選んでみてください。

迷ったらこの1本|秋の食卓で使いやすい万能タイプ

「食材ごとにワインを用意するのは大変」という場合は、幅広い料理に合わせやすいタイプを1本選んでおくと便利です。

この記事の早見表を見渡すと、もっとも多くの料理に登場するのは渋みの穏やかな軽めの赤ワインです。ピノ・ノワール、ガメイ、マスカット・ベーリーAなどがこのタイプにあたります。きのこの土っぽい香り、肉じゃがの甘辛い味、さんまや鮭の脂など、色・重さ・香りのいずれかの考え方で合わせやすい食材が多いのが特徴です。

軽めの赤は、少し冷やして飲むと味わいが引き締まると言われます。冷蔵庫で30分ほど冷やしてから飲み始めるという方法がよく紹介されており、グラスの中で温度が上がるにつれて香りが変わっていくのも楽しめます。

白ワインを1本選ぶなら、ほどよく樽の香りがあるシャルドネが候補です。栗やさつまいも、かぼちゃ、きのこのクリーム煮、鮭のムニエルと、秋の「ほくほく」「こってり」系の料理に幅広く合わせやすいとされています。魚介や和食が中心の日は、甲州を選んでおくと合わせやすいでしょう。

どちらも、手頃な価格帯から選択肢があるタイプです。1本を数日かけて楽しむ場合は、開けたあとの保存方法も知っておくと、最後までおいしく飲みやすくなります。開けたワインの保存方法をまとめた記事もあわせてご覧ください。

秋の食卓に用意したいワイン4本

早見表に出てきたタイプから、手に入りやすいものを選びました(価格は執筆時点の目安です)。

① グット・ダルジャン ピノ・ノワール|迷ったらこの1本

チリのレイダ・ヴァレー産のピノ・ノワールです。この記事で「万能タイプ」とした渋みの穏やかな軽めの赤にあたり、きのこ、秋鮭、肉じゃがまで幅広く合わせられます。約3,520円。

グット・ダルジャン ピノ・ノワール(楽天)

② シャトー・メルシャン 山梨 甲州|さんまと和食に

日本固有の品種「甲州」の白です。さんまの塩焼きや和の食卓に合わせやすいタイプとして挙げられます。約1,905円で、日本ワインの入口としても手に取りやすい1本です。

シャトー・メルシャン 山梨 甲州(楽天)

③ 1924 ダブル・ゴールド バタリー・シャルドネ|栗とかぼちゃに

名前のとおり、バターのようなコクを打ち出したアメリカのシャルドネです。栗やさつまいも、かぼちゃのグラタン、きのこのクリーム煮など、コクのある白が合う料理に向いています。約3,080円。

1924 ダブル・ゴールド バタリー・シャルドネ(楽天)

④ シャトー・メルシャン 藍茜|すき焼き・肉じゃがに

メルローとマスカット・ベーリーAを使った、日本ワインの赤です。果実味のあるミディアムボディで、すき焼きや肉じゃがのような甘辛い味付けと合わせやすいタイプです。約1,914円。

シャトー・メルシャン 藍茜(楽天)

よくある質問

魚料理に赤ワインを合わせるのは避けたほうがよいですか?

必ずしも避ける必要はないと考えられています。先に紹介した研究では、魚介と合わせたときの生臭さには、ワインの色よりも含まれる鉄分の量が関わっていると報告されています。赤ワインを合わせる場合は、渋みが軽いものを選ぶ、すだちやレモンなどの柑橘を添える、といった工夫を試してみるのもよいでしょう。気になる場合は、甲州のように鉄分が少ないとされるワインを選ぶのも1つの方法です。

料理に合わせるなら、高いワインのほうがよいですか?

価格よりも、組み合わせの考え方のほうが大切だと言われます。毎日の家庭料理であれば、手頃な価格帯のワインでも、色や重さ、香りの考え方に沿って選ぶことで組み合わせを楽しめます。気に入った組み合わせが見つかってから、同じタイプで少し上の価格帯を試してみる、という順番もおすすめです。

料理とワインが合わないと感じたら、どうすればよいですか?

ワインを替えるのが難しいときは、料理の側で調整する方法があります。料理に塩気や酸味を少し足すと、ワインとなじみやすくなるとよく言われます。レモンやすだちを搾る、塩を少し振るといった手軽な方法から試してみてください。また、ワインの温度を少し変えるだけでも、感じ方が変わることがあります。

まとめ

秋の食材とワインの合わせ方は、次の4つの考え方を手がかりにすると選びやすくなります。

  • 色を合わせる(茶色い料理には赤、黄色や白っぽい料理には白、淡いピンク色にはロゼ)
  • 重さを合わせる(素材よりも味付けや調理法を見る)
  • 香りの共通点で合わせる(きのこと熟成したピノ・ノワール、栗と樽熟成のシャルドネなど)
  • 産地を合わせる(和食には甲州やマスカット・ベーリーAなど日本のワイン)

迷ったときは、渋みの穏やかな軽めの赤か、ほどよく樽の香りがあるシャルドネを1本用意しておくと、秋の食卓の多くの料理に合わせやすくなります。高いワインでなくても、合わせ方の理屈を少し意識するだけで、いつもの晩ごはんが少し特別に感じられるかもしれません。

お酒は適量を守り、料理と一緒にゆっくり楽しんでください。

今夜の1杯が、いまよりちょっと豊かになりますように。

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